OSAKA心血管エコー研究会公式ブログ    HP: http://osakacvecho.com

当会は超音波技術と知識の習得を目的とした研究会で、 実地臨床にすぐに役立てることができるセミナーやカンファレンス形式の自由参加型の勉強会です。

7月31日分の抜粋スライドです,今回は肺高血圧症.

 

 

7月31日は肺高血圧について開催しました.今回も大変勉強になりました.

よく勘違いされるのが肺血栓塞栓症による急性肺高血圧の心エコー像です.一般に高度の肺高血圧になると胸骨左縁短軸断面で俗にDシェイプといわれている右室から左室が圧排されている像となりますが,肺血栓塞栓症における超急性期ではこのようなことにはならないことが多いのです.急性肺血栓塞栓症では急激な後負荷増大に伴う容量負荷から,右室駆出率の低下の代償として右室拡大がおこります.この時点では容量負荷が主なので右室右房の圧較差(TRPG)は大きくありません.

大きな講習会でもどこかの先生が例として急性肺血栓塞栓症心エコーの動画として胸骨左縁短軸断面の右室から左室が圧排されている像(Dシェイプ)を出されたりしますが,上記状態が持続し,右室の代償機構が破綻あるいはそれに近い状態となり右室圧負荷が強くなった状態で起こります.急性の肺血栓塞栓症では,同じ急性期でも超急性期では心エコーによる像の見え方が異なることに注意して観察して下さい.

 今回はこのような内容を含む,様々な肺高血圧症を勉強できました.なかでも提示の症例は大変勉強になりました.NTT西日本病院の山本将司先生講演のこの症例は,希ではありますが血行動態を順当に考えることができた症例でした.また,そのなかで技術として勉強になったのが,スライド5枚目の心窩部から心基部の短軸断面を描出し右肺動脈の血栓塞栓を描出した画です.すばらしいですね.これは同施設の井上太先生による記録とのことですが,このような画が出せるのよう日頃から多断面で観察することを肝に命じて検査することが重要だと思いました.f:id:osakacvecho:20130810064533j:plain

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